ZOOMの商標権を巡る争いが複雑化

コロナ禍になってから、ZOOM会議をすることが多くなりました。MicrosoftのTeamsも使うことがありますが、ZOOMを使うことの方が多い気がします。

このZOOMですが、商標権を巡って争いが起きているとのこと。

日本の音響機器メーカー「ズーム」は1983年に創業、「ZOOM」のロゴを2006年に日本で、2008年にアメリカとヨーロッパで商標登録しています。映像関係の仕事をされている方にはプロ用機材としてお馴染みだと思います。

これに対して、アメリカのビデオ通話システム会社「Zoom Video Communications(ZVC)」は2011年の創業ですから、当然分が悪い。

どちらも、広い意味での映像分野ですから、バッティングしてしまいます。

海外と日本の企業の商標を巡る問題としては、iPhoneが有名です。AppleのiPhoneが日本のインターホンなどを提供する「アイホン株式会社」の所有する商標権に抵触するとして、多額のライセンス料を払っています。ちなみに、この「アイホン株式会社」、マンションなどのインターホンによく使われていますので、目立ちませんが、多くの人がお世話になっている会社です。

今回のZOOMの商標権を巡る争いは、iPhoneと同じようにライセンス料で解決、とはならずに、かなりこじれているようです。

ここ数年、特にコロナ禍になってから、ZVCのウェブ会議システムに関する問い合わせがこの音響機器メーカーに届いているとのこと。当然違う会社なので、問い合わせされても対応できません。ZVCに対応を求めましたが反応は鈍く、そうしている間にも問い合わせがどんどん増えるので、とうとう2020年4月に警告書を送付したそうです。2021年1月に両者の協議が始まったようですが、音響機器メーカー「ズーム」としてはZVCの不誠実な対応に不信感を抱き、和解金ではなくサービス名の変更を要求し、交渉は決裂してしまったようです。

しかし、ここに来て、新たな伏兵が登場しました。トンボ鉛筆が2000年に電子計算機用プログラムの区分で「ZOOM」の商標を登録しています。2021年には、現時点ではまだ審査中ですが、新たに区分を広げて「ZOOM」の商標を取得しようとしています。

日経新聞によると、ZVCがトンボ鉛筆に商標の譲渡交渉を申し入れているようですが、これが実現すればZVCに有利になる可能性があります。

しばらくこの「ZOOM」の商標権を巡る争いから目が離せません。

目次