地面師事件と粉飾決算

地面師に直撃した記者が語る手口…今後、起こる被害を専門家が警告

「すごすぎて手に負えない」仕事ぶりも

そして、地面師詐欺に欠かせないのが、売り主の「なりすまし役」とその「手配師」だ。 「なりすまし役には、実際に役者をしている人が選ばれることもありますが、手配師が繁華街の風俗グループとつながっていて、特に借金がある風俗関係者などを中心にスカウトすることがあるようです」と佐藤は実情について語る。

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司法書士が万が一、地面師にだまされ、損害賠償を負うことになった場合に備え、加入する「業務保険」も、東京は“事故率が高い”という理由で、保証の限度額が大阪の4割に留まるという。

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長田さんが今後起こりえる被害について警告する。 「政府が国を挙げて、ハンコを減らしてマイナンバーカードを推進したり、AIの利用を薦めたりして『非対面取引』がしやすい環境になっています。しかし、不動産の取引では免許証を実際に触ってみるといった感覚的なものから得られる情報が、地面師詐欺を見抜く上で非常に重要になりますが、非対面ではそれができません。遠隔でのやりとりが可能など、一見便利な『非対面取引』ですが、『対面取引』と比べたメリット・デメリットのバランスを考慮することが重要です」

2024/12/7(土) TBS NEWS DIG

この最後のコメントはよくわかります。この司法書士が地面師と対峙するのは、公認会計士が粉飾決算をしている経営者と対峙するのと似ています。どちらもこちらを騙そうとしている、という点では同じです。

公認会計士も、会計監査でAIに判定させたり、残高確認書の電子化で負担を減らそうとしていますが、それは同時に得られるデータを狭めているとも言えます。返信封筒の局印、返信の社印の押し方、そもそも押印がない、そういった違和感から不正を発見する手掛かりを得たりします。

担当者と直接会ってヒアリングして、話に整合性があるか、話し方に違和感はないか、その人が出す雰囲気から違和感を感じることもあります。これは誰しも経験することではないでかと思います。「この話、嘘っぽいな」とか、「なんか軽いな」とか。

電子メールやSNSなどでのやり取りでは、相手の顔が見えないので、誤解を招くことがあります。会ってみると物腰が柔らかいのに、電子メールでは高圧的、冷たいと印象を受けることもあります。

最近は出社を義務付ける企業も増えているので、やはり対面が大切、ということを再確認しているのだと思います。

海外では、教科書の電子化も見直しているようですし。

会計監査も揺り戻しが起こるかもしれません。

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