ようやく四半期報告書が廃止に

4~6月から四半期決算大きく変更 報告書廃止、短信に一本化

各事業損益などは義務に

上場企業を巡る四半期決算の開示の仕組みが、4~6月期から大きく変わる。金融商品取引法で上場企業に開示を義務付けていた四半期報告書が廃止され、証券取引所のルールに基づく決算短信に一本化される。

重複する作業を省き企業の負担を軽くする狙いがある。開示情報の減少を防ぐため、短信の情報を手厚くする措置も取られている。

2024年7月18日 日本経済新聞

四半期報告書の廃止で、監査法人には値下げ圧力がかかりますね。監査法人の成果は監査報告書ですから、それがなくなれば報酬を下げて欲しいと言われるのは自然な流れです。もともと日本だけが異常に厳しい制度を採用していたのですから、なくなったのはよかったと思います。

会計学者や経営学者は、海外、特にアメリカの制度を輸入することに熱心で、輸入するだけならまだ良いのですが、それをさらに改悪するから困ります。
独自性を出したいのか、現場のことを考えてずにさらに重たくするので、現場は大変です。内部統制報告制度も同様。報告書の作成で現場が疲弊し、日本企業の活力を削いでいるとしか思えません。失われた30年はこれも原因になっていると思います。

これは最近のメーカーの不正に通じるものがあります。

例えば、本来100点で良いものを社内基準で150点にしていたところ、120点が限度で、とても150点は達成できないので改竄してしまった、ということもあったのだと思います。しかし、本来の基準の100点は超えているので品質としては問題ない、ということだと思いますが、だったら最初から100点でOKにしておけば何の問題もありませんでした。不必要に基準を上げてしまったものだから、「不正」という不名誉なことになってしまいました。

日本も制度を過重にしてしまったため、企業の重荷になってしまい、今頃になってようやく見直した、というところでしょうか。

投資家にしてみれば、開示制度は重くしたところで、できて当たり前としか思っていません。であれば、企業活動の足枷にならないように、不必要に重くすべきではありません。まるで、日本企業にペナルティを課しているようです。もっとも、日本はチェックするが好きですから、お国柄でしょうか。

四半期報告書の廃止だけではなく、有価証券報告書と招集通知の一本化もして欲しいですね。

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