損益計算書の企業間比較

IFRS 変わる決算書(2)投資家、企業分析しやすく

2027年度から国際会計基準(IFRS)で損益計算書(PL)の表示ルールが変わる。改正の狙いなどについて、IFRSを策定する国際会計基準審議会(IASB)のニック・アンダーソン理事に聞いた。

――PLに「営業」「投資」「財務」の3区分を設ける新しい会計基準「IFRS第18号」の意義は何ですか。

「現在は収益(売上高)と最終損益は定義され開示義務もあるが、その間の段階利益については企業が投資家にと…

2024年10月17日 日本経済新聞

これは企業間比較分析を行う上では重要です。今は企業によってまちまちという感じなので、分析が大変です。

特に、日本では伝統的に、営業利益、経常利益を重視するので、できるだけ臨時損益であることを強調するために特別損益を使う傾向にあります。臨時損失であることを強調し(想定外と言いたい)、特別損失に持っていけば、経常利益は大幅に改善できます。

特に、大口得意先が倒産した場合、貸倒損失を営業損益に含めるのか、特別損失に含めるのか、ということが問題になることがあります。大口取引先の倒産という点では、臨時巨額の損失と言えますが、通常の営業活動に伴う損失でもあります。しかも、大口取引先であれば、頻繁にやり取りしているわけですから、まったく予兆を感じなかったということもないはずです。船井電機の件でも、多くの企業は予兆を感じていたようです。

たまにしか取引しない小口の取引先が倒産しても、通常の営業活動に含めて、目立つ特別損失に入れることはないのに、大口の取引先が倒産したら特別損失に計上するのでは、理屈に合いません。もちろん、個々の事情で、本当に想定外の臨時巨額の損失と言える場合もあります。

巨額だからといって、必ずしも臨時的とは言えない、という点に注意する必要があります。

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