プラズマ技術の概略

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【自然界のプラズマ】

 プラズマは珍しい現象ではありません。ありふれたものです。宇宙の物質の99%はプラズマの状態と言われています。

 太陽はプラズマの固まりです。ということは、夜に見える無数の星のほとんどは恒星ですから、ほとんどがプラズマボールということになります。雷もプラズマです。

プラズマの語原は、古代ギリシャ語で「形造られた者」という意味だそうです。

この用語は新約聖書に出て来ます。新約聖書はギリシャ語で書かれたからです。もとになっているのは、旧約聖書の創世記で、最初の人間アダムが土から造られ、神がその鼻にいのちの息を吹き込まれた、とあります。非常に意味の深い用語です。

古代ギリシャでは、数学や科学が発達していました。

万物は4つのものからできている、という四元素説が唱えられました。万物は、火、風、水、土、から成り立っているという説です。木が燃えると風が起こり、雨が降り、最後は燃えカスとなって土に返る、という事実から、木がこの4つの成分から構成されていることを示している、として唱えられました。

もちろん、今ではこんな説は成り立たないことは分かっていますが、かといって、あながちこの説を頭から否定できないところもあります。

というのも、この説は、物質の状態のことを指していると言えるからです。物質の状態は、エネルギーを加えることによって、固体、液体、気体、プラズマの4つの状態に遷移していきます。

一般的には固体が融解して液体になり、蒸発して気体になります。(固体から直接気体になる、「昇華」という現象もあります。)

気体にさらにエネルギーを加えると、原子が原子核と電子に分離する、電離が起きます。これがプラズマです。火、すなわち太陽はプラズマです。

【プラズマの応用範囲】

 プラズマの応用範囲は極めて広いです。

プラズマの特性によって、応用分野を分けると大きく3つに分けられます。

 基本は雷なので、熱、光が発生します。また電離するので、ラジカルの利用もあります。

 熱エネルギー利用では、産業用に使われている溶接がメジャーと言えます。ほかに、核融合発電、プラズマカッター、医療機器、溶射といったものがあります。

 プラズマカッターは熱で焼き切る、というものですが、これを応用して、プラズマで人体を切る、プラズマメスというものも研究されているそうです。プラズマで切ると、傷口がきれいになる、治癒力が期待できるという利点があるとのこと。

 光エネルギーの利用は、蛍光灯、レーザー、どちらもおなじみです。

 ラジカルの利用は、半導体製造、新素材の生成に利用されています。

 スマホやPC、自動車、家電、ありとあらゆる電気製品に半導体が入っているので、今の現代文明が成り立っているのはプラズマのおかげとも言えます。

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