数字は人を簡単に騙します。直感的に正しそうに見えても、実際には実態とはかなり異なっている、ということが結構多いです。
パーセンテージに騙されるな
ポテトチップスが25%増量、と書いてあったけど、これっとお得?
- 100gが50gに減った場合、50%減。
- 50gが100gになると、100%増。
- 100gが20gに減った場合、80%減。
- 20gが100gになると、400%増。
価格はそのまま据え置くけど、量を減らすことで実質的に値上げ、となっている食品は多いです。
ポテトチップスも、昔はもっと量があったよね、と思いながら、たまに食べます。
カルビーが期間限定でポテチを10~25%増量しましたが、すごく増えたような錯覚に陥りました。ところが、60gが25%増えても、たった15g増の75gです。これに対して75gが60gに減った場合は、20%減。まさに数字のマジックです。
これは投資にも当てはまります。
100万円が50万円に半減してしまった場合、これを取り戻す、つまり、50万円を100万円にするためには、50万円増、つまり元手と同額の利益を稼がなければなりません。
これがいかに大変なことか、想像ができると思います。
平均は虚構、中央値は実在
平均とは虚構、フィクションです。それに対して、中央値は実在します。
例えば、年収200万円の人が9人、年収1億円の人が1人いた場合、
- 平均値は、1180万円【(200万円×9+1億円×1)÷ 10】
- 中央値は、200万円【200万、200万、200万、200万、200万、200万、200万、200万、200万、1億のちょうど真ん中の人】
どちらが実態を表しているか。ちなみに、平均1180万円の人は存在しません。1億という極端な人がいるので、平均値はそちらに引っ張られる形になっています。
数字は簡単に人を騙します。
ファイザーワクチンとモデルナワクチン、どっち?
若い男性には、モデルナワクチンではなく、ファイザーを勧めるとのことです。稀に副作用が出るとのことですが、その稀な方に当たってしまったら、その人にとっては、大変なことです。
学者は確率でモノゴトを考えますが、確率では済まないことはたくさんあります。
1%ということは、99人にとっては0%ですが、不幸にも当たってしまったその1人にとっては100%です。
一人一人が1%の確率ということではなく、ある人にとっては0%ですが、ある人にとっては100%の、0か100かのバクチをしているに等しく、ちょうど100個の弾倉に一発だけ込めて順番に引き金を引くロシアンルーレットに似ています。
確率・統計というのは、使い方によっては人を容易に欺くことができるので、要注意です。
社会現象はべき乗
内部統制監査で常々疑問に思っていることは、サンプリング数が25件でよいとする、その根拠です。正規分布を前提にしていますが、自然現象では正規分布が一般的ですが、社会現象ではべき乗が一般的です。
いわゆる、2割対8割の法則、パレートの法則です。
例えば、売り上げの8割は2割の顧客から発生しています。これは実際にいろいろな会社を見ていると、だいたいそうなっているから不思議です。他にも、所得の8割は2割の人が稼いでいる(今は格差がひどいので、9:1か、それ以上かもしれません)、8割の間違いは2割の人が原因、など。
間違う人は大抵同じ人である場合が多いです。もちろん誰しもミスを犯しますが、みんなが均等にミスをするわけではありません。ほとんどミスをしない人もいれば、しょっちゅうミスをする人もいて、かなりの偏りがあります。
今までは、会計士がプロとして、階層に分けるなどの方法で分析していたわけですが、それにはある程度の合理性があったと思います。取引先の上位2割を調べれば8割カバーできるわけですから、効率性からいっても、非常に効果のある方法です。人員、時間は無限にありませんので、少ないコストで不正やミスを見つけることができればそれが一番良いわけです。
確率論を持ち込んで、数学的根拠があると主張することで、説得力を与えることができるかもしれませんが、それは適切な方法を採用していればの話です。