特許ってすごいの?
事業を行う上で、特に、注意しなければならない知的財産権は、著作権、商標権、特許権です。
このブログでもアフィリエイトをしていますが、提携に当たっての審査で、著作権、商標権侵害がないか、厳しくチェックされますので、ブロガーも無関係ではありません。
ブログを書いていて問題になる著作権は、写真の無断使用、文章のコピペです。また、AMAZONやAppleなどのロゴの使用も厳しく制限されています。
ディズニーの著作権・商標権管理は特に厳しいので、特に注意が必要です。有名なブランドほど厳しくチェックしています。
警告を受けたり、訴えられたり、アフィリエイト提携解除されたりしますので、注意が必要です。
また、モノを作ってネットで販売される方は、さらに注意すべきが特許権です。
この3倍巻きトイレットペーパーの特許が侵害されたとして、日本製紙クレシアが大王製紙を提訴したという記事がありました(2022.9.7 日経新聞朝刊)。
大企業であれば、通常、知財部があったり、契約している弁理士事務所があったりして、他社の特許を侵害していないか、チェックすると思うのですが、それができていなかったのでしょうか?
我が家でもずっとこれを使っています。
紙の質がよく、長持ちするので、コロナ禍の初めの頃のトイレットペーパーが一時無くなった騒動でも、これを使っていたおかげで何とか持ち堪えることができました。
保管スペースも節約できますので、災害に備えて備蓄するのにも最適です。3倍長持ちということは保管スペースが3分の一になりますので、我が家でも、1年分は備蓄しいます。
実用新案権ではなく、特許権の取得を考えるべき理由
よく、「実用新案を取りました。」と意気揚々と話していただくことがありますが、実用新案を取るのであれば、特許権を取るべき、というのが正直なところです。
というのも、実用新案は、審査官による新規性や進歩性といった実体審査を経ないで設定登録されてしまいますので、それって本当に発明なの?と思うものも存在します。そのため、後日、あっさりと無効とされてしまうリスクもあります。
これに対して、特許権は非常に強力な権利なので、せっかく費用と時間をかけるのであれば、中途半端な立ち位置の実用新案権を取るよりも、特許権の取得を目指すべきだと思います。
なお、特許を取得するためには、次の要件が必要なので、注意が必要です。せっかくのアイデアも、それが特許にならなければ意味がありません。また、ちょっとした工夫で特許にすることがもできますので、特許を取ることを頭の片隅に入れておきながら開発することをおすすめします。
- 発明であること
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そもそも、それは「発明」なのか、という問題です。特許権の「発明」とは、自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものをいいます。
よく、ビジネスモデル特許が取れないか、という話を聞きますが、ビジネスモデルだけでは取れません。自然法則を利用した技術と組み合わせるテクニックが必要です。そこは、特許事務所の腕にかかっています。
特許庁の特許・実用新案審査基準の第III部「特許要件」第1章「発明該当性及び産業上の利用可能性」に、発明にならないものの例が列挙されていますので、一読することをおすすめします。その中から抜粋します。
発明にならないもの
- 自然法則自体(エネルギー 保存の法則、万有引力の法則などの自然法則自体は「発明」に該当しません。)
- 単なる発見であって創作でないもの(ただし、天然物から人為的に単離した化学物質、微生物などは、創作されたものなので、「発明」に該当します。)
- 自然法則に反するもの(例えば「永久機関」。絶対に実現できない、あり得ないものはダメ。)
- 自然法則を利用していないもの(ゲームのルールそれ自体。ビジネスを行う方法それ自体。人間の精神活動など)
- 技術的思想でないもの(個人的な技能、画像データ、マニュアル、絵画や彫刻など)
- 発明の課題を解決するための手段は示されているものの、その手段によっては、課題を解決することが明らかに不可能なもの(つまり、そもそもの前提が間違っているので、その方法を使っても的外れであるため、解決できない)
- 産業上の利用可能性があること
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特許庁の特許・実用新案審査基準の第III部「特許要件」第1章「発明該当性及び産業上の利用可能性」に、ダメなものが列挙されています。以下のものはダメなものです。
- 人間を手術、治療又は診断する方法の発明
- 業として利用できない発明(個人的にのみ利用される発明(喫煙方法など) や学術的、実験的にのみ利用される発明)
- 実際上、明らかに実施できない発明(例:オゾン層の減少に伴う紫外線の増加を防ぐために、地球表面全体を紫外線吸収プラスチックフイルムで覆う方法。要するに荒唐無稽な小説や漫画の世界の話。)
- 新規性を有すること(特許法第29条第1項第1~3号)、
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すでに世の中に知られているものはダメです。これはある意味当たり前ですね。
- 進歩性を有すること(特許法第29条第2項)、
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特許を出願するに当たって、ここが一番の問題になることが多いです。
特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が前項各号に掲げる発明に基いて容易に発明をすることができたときは、その発明については、同項の規定にかかわらず、特許を受けることができない。
- 先願であること(特許法第29条の2、第39条)、
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日本は先願主義ですので、先に出願した方が勝ちになります。これに対して、アメリカなどは先発明主義といって、先に発明した方が勝ちになりますが、先に発明したことを証明するのはなかなか難しいです。
日本の先に出願した方が勝ちというのは、すぐに判断できます。
- 公序良俗を害する発明でないこと(特許法第32条)
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特許庁の特許・実用新案審査基準の第III部「特許要件」第5章「不特許事由」に例示されています。
- 遺伝子操作により得られたヒト自体
- 専ら人を残虐に殺戮することのみに使用する方法
特許を取ったから売れるわけではない
特許権とは、新しい発明に対して、内容を公開する代償として排他的独占権が与えられるもので、その発明が商売になるかどうかはまた別問題です。
特許が取れたから、すごいモノだから売れる、と短絡的に考える方がまだまだおられます。しかし、今までにない新しいものを作っただけであって、それが売れるかどうかは売ってみなければわかりません。
埋もれた特許を利用する、という話がときどき出てきますが、埋もれた特許というのは、要するに発明はしたものの、ほとんどが商売にならなかった特許、あるいは、防衛のためにとりあえず取った特許ということになります。もちろん、中には、早すぎた、資金がなかった、といった事情もありますが、大半は商売にならなかったものです。ゴミの中にほんのわずか、これは再利用できるかな、というものがあり、さらに、極々稀にダイヤモンドが、もしかしたらあるかもしれない、という感じだと思います。
特許を取れば、独占できるわけではない
特許権に過大な期待をされておられる経営者の方がまだまだおられます。特許を取っても、独占できるとは限りません。独占するためには、守る必要があります。権利の上にあぐらをかいてはいられないのです。
特許権は、排他的独占権といって、相手が特許権を侵害したときに、他を排除できる(つまり排他)権利を有するものです。
つまり、相手が真似をしても、こちらが何も言わなければそのまま放置、ということになります。逆に、こちらが特許権を取得していれば、誰からも文句を言われないということでもあります。国が積極的にやめなさい、とは言ってくれません。これが排他的独占権です。
なので、大企業は、使いそうもないけど念のため細かいところまで特許を取ってこようとします。これが防衛的特許戦略で、わたしもよくやりました。そうしないと、どこから訴えられるかわかりません。
思わぬところで足元をすくわれかねないのが特許の怖いところです。
なお、特許権侵害を訴えるには裁判が必要ですので、中小企業には大きな負担になります。大企業が中小企業を飲み込むために使う手法として問題になっていることでもあります。中小企業に闘う体力がないことを見透かしているわけです。
特許を取っても守れない、かえって会社を潰しかねない、ということもあるのです。
YouTubeトロール
特許や商標を先に取られてしまい、本当の権利者が苦しめられることがあります。このようなパテントトロールの標的にされないためにも、知的財産については敏感になり、できるだけ先に取得して防衛することが必要になっています。
しかし、最近は、YouTubeトロールなるものまで出現しています。自作のものであるにもかかわらず、権利侵害を主張され、これに対抗するにはものすごく骨が折れるようです。この世界でも声の大きいものが勝つようなので、個人ユーチューバーでは対抗できないかもしれません。
YouTubeには、Content IDというAIが自動的に著作権侵害を調べるようになっています。動画や音楽については最近は特に大変シビアなようです。確かに、YouTubeで閲覧できない動画が増えているように感じます。
ユーチューバーはYouTubeから締め出されてしまったら商売ができなくなってしまうので、大変です。
その新商品は必要ですか?
その商品、いる?
色々な道具が開発されますが、消えていくものも多いです。「そういえば、そんなものもあったなあ」、と古い新聞を読んでいると懐かしく思います。
例えば、手を汚さずにできる、という謳い文句が書かれている商品があったとして、「でも、その道具自体は洗わないといけないよね」、とか、「手を洗えば済む話でしょ」とツッコミを入れたくなります。
確かに便利そうですが、わざわざそんなものを使わなくてもできる、という理由で消えていくものが数多くあり、これらは結局は作る側の論理で作られるからだと思います。