新規開業してから10年生き残るためのヒント

そらかぜ

続けるって大変だよね

目次

飲食店の開業と生き残り

昔のカフェなどの開業本を読むと勉強になることが多いです。

時間差で読めるため、10年以上経過していたりすると、開業後も生き残っているのか、ネットで検索してみればすぐにわかります。

本によっては、結構な割合で生き残っている場合もあり、その著者の選別眼に驚かされることがありますが、ほとんどの本は撃沈・閉店している場合が多いです。

本には開業時に初期投資がどのくらいかかっているのかも載っているので、比較がしやすいです。

やはり、初期投資があまりかかっていない方が生き残っている確率が高いように感じます。

特に、実家を改装した場合はやはり強い。最もお金のかかる店舗の取得費用が生き残りに大きく影響しているようです。こだわりから初期投資にお金をかけすぎると消えるリスクが高くなります。

手元現金がどれだけあるかによって精神状況に大きな影響を与えます。現金があればできる選択肢も増えます。

「貧すれば鈍する」で、お金がなくなると焦って悪手を打ってしまいがちです。今月の支払いが何とかできた、と思っていると、すぐに翌月の支払期限が来てしまいます。

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商売の継続には、リピート客が必要です

商売の継続にはリピート客、つまり固定ファンがどうしても必要になります。新規のお客様を得るためのコストは非常に高くつきます。

宣伝し、チラシを配り、といった地道な努力が必要になるからです。それに対して、リピートいただける、ということは、認知してもらうというハードルはクリアしているので、あとは何度も来ていただけるようにすればよいので、努力の方向が変わってきます。

中でも、熱狂的ファンはありがたい存在です。毎回新規客では、いずれ行き詰まってしまいます。

お店のファンというのは、そのお店の出す商品、サービスというよりも、お店の人のファンであることも多いです。大阪の天満で女性経営者が常連客に殺害されるという痛ましい事件が起きました。固定ファンはありがたい存在ですが、かといって、迷惑な客も困りものです。特に、上得意のお客様が迷惑をかけてきた場合には、どのように対処すべきか、本当に難しいところです。

言わんとしていることはわかりますけど

吉野家の役員の発言が炎上しました。言わんとしていることはわかりますが、表現が悪かったです。

コアなファン、リピーターを増やすことは、マーケティングの基本です。その究極が中毒、依存症で、それがなければ生きていけない、というところまでいけば、確かに黙っていても、値上げをしても売ることができるでしょう。

それをわかりやすく(?)、インパクトのある表現をしたらこういうことになってしまった、ということなのだと思いますが、その代償は取り返しのつかないものになってしまいました。

これは他山の石で、改めて表現の仕方には気を付けないといけないな、と思わされた事件です。

事業を売却したOrigami pay

2020年1月にメルペイに事業売却したOrigami pay。

売上高2億円に、賃料3億円のオフィスとは驚きです。

月収20万円の人が賃料30万円の家に住むようなもの。これでは破綻してしまうのは当たり前です。

「経営をする」とは、意思決定の連続です

経営するとはどういうことかを知るには、経営してみるしかありません。

  • 何を売り物にするか決める
  • 人を雇う
  • どこに出店するか、事務所をどこにするか決める
  • 価格を決める
  • 前受けにするか、掛売りにするか、請求のタイミングをいつにするか決める
  • 督促する
  • 設備を購入する
  • 借り入れするか決める

などといった決断をすべて自分でしなくてはなりません。また、税金や社会保険、給料の支払いも自分でしなければならず、このようなことは雇われているうちはわからず、実際にやってみなければわからないことです。

泳ぐとはどういうことかを知るには、水の中に入って泳いでみるしかありません。

官房長官と総理大臣の違いを聞かれて、「最終決定をするかどうか」、と管元総理が答えていましたね。

今の時代、借り入れしなくとも何とかなります

今は、ほとんどお金をかけずに起業をすることができます。ひと昔前とは大違いです。

株式会社設立も比較的簡単にできます。もっとも、会社を設立できても、銀行口座開設が難しかったりしますが・・・。

あらゆる道具がとにかく安いです。PC、プリンタ、3Dプリンタも安い。アプリも無料のものがたくさんあります。

自宅で起業して、人を雇わなければ、固定費はほとんどかかりません。

そもそも人を雇う必要があるのかも考えたいところです。もちろん、人が絶対に必要という業種はあります。医療・介護、運送などの労働集約型の業種は人がいなければ成り立ちません。

労働集約型の業種は別として考えると、今はあらゆるものがアウトソーシングできます。

自動化できるソフトも多いので、わざわざ人を雇う必要もなくなってきています。自動翻訳の精度も上がってきていますので、ある程度のレベルの翻訳であれば特に語学力がなくても問題ありません。

従業員数で会社規模を考える経営者もまだまだおられますが、見栄で経営するのは馬鹿げています。

会社経営でもっとも難しいものの一つが、人の扱いだと思います。人を雇うと仕事を与えなければなりません。仕事があればいいですが、なければわざわざ仕事を作って仕事をやらせるという本末転倒のことも起きがちです。

社会保険の負担や問題社員であっても簡単に解雇できずに我慢する負担を考えると人を雇うことには相当の覚悟が必要です。

初期投資、固定費がかからなければ、そもそも借り入れる必要性がほとんどありません。

借り入れにはコストもかかりますし、資料を作ったり手間もかかります。その労力を事業に振り向けた方がより効率的だと思います。事業を行う上で、借り入れは本当に必要か、考える必要があります。

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値下げ戦略は悪循環を招きます

値下げをしなければならない状態というのは、基本的に、

  • 値段が高すぎた(そこまでの価値がない、魅力がない)
  • 在庫が大量に残っている(希少価値がない)

のどちらか、あるいは両方が原因となっています。

価値があれば、値下げの必要がありません。そこまでの価値がないから、その価格では売れないのです。

例えば、特別なイチゴ。雪のように真っ白、糖度は20度でとても甘く、栽培に手間がかかるため、生産量はわずかしかありません。しかも他では作れない、となれば、一粒5万円という値段でも贈答用などとして売れると思います。

これに対して、どこでも買えるありふれたイチゴ、というのでは、せいぜい1パック298円から498円程度にしかなりません。このイチゴを一粒5万円で売ろうとしても売れません。

また、空気を入れたペットボトルを作ったらどうでしょう。空気が入っている、ということはただの空ボトルですが、宇宙に行けば空気はとても貴重ですから、高値で売れます。砂漠での水も同じです。

このように、価格は価値と連動しています。そのため、安易に価格を変えてしまうと、最初の設定、つまりその商品の価値の評価は何だったのか、とその評価の正当性が失われてしまいます。

そして、一度値下げしてしまうと、その価格が市場価格になり、オーソライズされてしまいます。そうなると、再び値上げするのは非常に困難に近くなります。

値段を下げたら売れると考えるのは安易であり、ますます売れなくなるという悪循環を生みます。

これは現状のアパレル業界にあてはまるのと思います。デパートではクリアランスセールが頻繁に行われ、ネットでも何度も値引きが行われています。

すぐに値下げされたのでは、最初に定価で買ったお客様は損した気分になります。最初に買ってくれたお客様は最も大切にしなければなりません。そのお客様に満足していただかなくてはならないのに、損をしたと思わせてしまうのは最悪の顧客対応です。これでは顧客満足どころではありません。

これでは定価で買う人はいなくなり、値下げされるまで待つ人ばかりになってしまいます。皆が次の値下げまで待ち、店は値下げしたとしても、どうせまた値下げがあるからそれまで待とう、となり、ますます売れなくなるという悪循環に陥ってしまいます。まさにデフレスパイラルです。

新型コロナで観光業がピンチ

新型コロナのせいで、観光業が大ピンチです。もちろん観光業だけではなく、インバウンドを期待していた店舗も同様。
 いつの間にか、民泊も消えてしまいました。なんばなど、中国人だらけだったのに、閑散としています。堺でも、大きなスーツケースを持った中国人をよく見かけましたが、消滅してしまいました。

 中国への依存度が大きすぎたツケが回って来てしまいました。

 これは企業でも同様で、一社専属は「オンリーさん」と呼ばれます。大口取引先がなくなるだけで売上が激減してしまいます。

NHK 朝ドラ「なつぞら」を見て

NHKの朝ドラ、「なつぞら」を楽しく見ていました。

朝ドラの前半部分、おじいさんが、農協の支配を拒んでいるシーンがありました。

売り先が農協だけになってしまう、これに抵抗するのはよくわかります。

直接消費者に届けたい。今まさにそれが起きていると思います。おじいさんの考えが正しいと思います。

売り先が一社だけ、というのは、生殺与奪の権利を相手に与えてしまう行為です。
そこが売ってくれなければ一巻の終わりです。

これは、ユーチューバーも同じです。YouTubeから締め出されてしまったら終わりです。プラットフォームに依存することはとても恐ろしいことです。

独自の売り先を確保し、さらに安全を見て複数のルートは持ちたいところです。

日清シスコのチョコフレークは販売を継続しています。

森永のチョコフレークが生産終了になりました。


「指が汚れる」といったスマホ中心のライフスタイルの変化が理由、とニュースで言われていたが本当にそうでしょうか?

先日、日清シスコのチョコフレークを食べましたが、美味しかったです。

実はこちらも老舗で、チョコフレークは1968年から販売しており、50年以上ものロングセラーだそうです。

昨年は50周年記念リニューアルまでしています。売り上げは好調だそうで、販売は継続しています。

そうなると、森永の生産終了の理由は別のところにある、と考えるのが自然です。

日本で1番高い山は富士山、では2番目は?

そらかぜ

日本で1番高い山は富士山、では2番目は?

「日本で1番高い山は富士山、では2番目は?」という問いをよく目にします。

答えは「北岳」だそうですが、知っている人は少ないと思います。それを引き合いに、1番でないとダメ、ということが言いたいようです。

先日、森永のチョコフレークが販売終了しました。森永のチョコフレークの方が古いですが、後発の日清シスコの方が生き残りました。

コンテストでは優勝者より下位受賞者の方が有名になったりします。試験でも1番よりも下位の者の方が出世したりします。

トップは意外とパッとしなかったりします。

また、最初の発見者ではなく、後から発見した者が有名になったりします。コロンブスが来た時にはすでにアメリカ大陸に人は住んでおり、正確にはコロンブスが最初にアメリカ大陸を発見したわけではありません。

「初めて」、「1番」、に必ずしもこだわる必要はない、のかもしれません。

ネットでなんでも買える

今は、何でもネットで買える時代になっています。つまり、ネットショップもライバルになります。

ネットで買った方が便利、安い、というものが多いので、それを踏まえた戦略が必要です。

でも、買えるところがネットしかなくなってしまったら、とても不便になります。

特に、本屋が少なくなり、本当に不便になりました

確かに本は重いので、ネットだと届けてくれるのはありがたいです。翌日か、遅くても数日で届けてくれます。ポイント還元率も高くなることがあるので、お得で便利です。

しかし、欲しい本がある場合は、検索すれば買うことができますが、何となく本屋をぶらぶらして、おもしろそうだな、と実際に手にとって中身を確認して買う、ということはできません。思いがけずに出会う、という体験がなくなっています。

なので、わたしは実店舗にまで足を運んで、「この本おもしろそうだな」と衝動買いすることもまだまだあります。

ネットでは体験できないものがまだまだ実店舗にはあるので、そこに力を入れるだと思います。

また、アマゾンなどネットショップのアカウントが停止されてしまったら、買うことすらできなくなってしまいます。ネット難民のためにも、実店舗がなくなることは決してないと思います。

撤退までを考える

何かを始める時には、薔薇色の未来しか考えていないものですが、すべてが成功するとは限りません。そのため、どのような状況になったら撤退するか、までを考えて戦略を練る必要があります。

投資をするのであれば、損切りラインをあらかじめ決めておく。

よく、失敗しない方法は、成功するまで続けることだ、という言葉を聞きます。しかし、それは当たり前のことを言っているに過ぎず、あまり意味のない言葉とも言えます。成功したからそのようなことが言えるのであって、成功しなかった人はそのようなことは言えません。ナンセンスな精神論と言えます。

事業を始めたら、いつかはやめる日が来ます。それは人間は必ず死ぬからです。死ぬ日に向けてどう歩むか、間違った歩み方をしていないか、最も大切なことを考えなければなりません。

初心忘れるべからず

初心忘れるべからず。

これの本来の意味は、誰でもいつまで経っても初心者であるということ。

例えば、毎年歳をとりますが、20歳の人にとっては、21歳は初めての経験。同じように、59歳の人にとっては60歳は初めての経験。ひとつひとつ、すべてが初心なのであって、誰もがいつまで経っても初心者なのです。

成功者の話を鵜呑みにしない

成功本は、もちろん、成功した人しか書きません。つまり、成功本には生存バイアスがかかっています。

生き残っている会社だけを対象として分析してしまうと、倒産したり、やめてしまった会社は最初から入っていないため、非常に偏った分析をしてしまうことになります。

米軍は、戦争中、撃ち落とされずに戻って来た戦闘機を分析しました。たくさんの弾丸が機体に打ち込まれ、穴が開いていましたが、むしろ穴が開いていなかったところを補強したといいます。

なぜなら、戻って来た戦闘機に付いていた穴は致命傷にならなかったということであり、そこは致命傷にならなかったことを意味します。逆に戻ってこなかった戦闘機というのは、戻って来た戦闘機には残っていない傷が致命傷になったからだ、と推測できるからです。

会社も同じで、生き残っている会社はたまたま致命傷を負わなかっただけかもしれません。これが成功本を読んでも必ずしもうまくいかない理由の一つです。

致命傷になりそうな箇所を補強しない限り、同じことをしても成功するとは限りません。

もっとも、その致命傷になりそうな傷、つまり失敗談の多くは表になかなか出てこないのが現実です。誰も語りたがらないからです。うまくいったことは吹聴(しかも多くは盛って)しますけど。

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