NVIDIAの株価が急騰

NVIDIAの強さは、GPUの性能が良いということだけではありません。その強さの本質はソフトウエアにあります。

NVIDIAのGPUの性能を発揮するには、CUDAというソフトウエアを使う必要があります。特にPythonでは、GPU計算ライブラリCuPyを使うことによって処理時間が大幅に短縮されます。AIや機械学習では、ひたすら大量の行列計算をこなすため、NumpyやCuPyなどのGPU計算ライブラリが必須となります。CuPyはPythonではとてもお世話になるNumpyというライブラリとの互換性が高く、Numpyを使ったコードをCuPyに置き換えるだけで使えるという利便性があるため、機械学習やAIではCuPyを使うことがほぼ標準となっています。

これがただの半導体メーカーだったら、部品屋として性能競争に陥るところですが、ソフトウエアという資産のおかげでほぼ独占という形になっているとわたしは考えています。

CuPyで書かれたコードで動くソフトウエア資産が使われれば使われるほど、NVIDIAを使うしかなくなってしまいますので。

なので、日本が日の丸半導体復活、と掛け声を上げたとしても、ハードのみを考えていたのでは挽回は難しいと思います。ハードだけであれば、インテルやAMDにもチャンスがありそうですが、今のところNVIDIAの牙城を崩せていません。ハードだけでなく、CUDAを超えるもの(その場合は、過去のソフト資産を活用できるようにしなければならない)を作らない限り挽回は難しそうです。

点検 半導体株(上)エヌビディア、値上げ力で急騰

処理性能向上、続く1強状態 株価3倍でも割安評価

人工知能(AI)向け半導体がけん引する米エヌビディアの躍進が続いている。株価は前週末の14日に132ドルと分割を考慮した最高値を更新した。1年間で3倍になったにもかかわらず、株価の過熱感を測る予想PER(株価収益率)は低下している。ただ、足元ではエヌビディア以外の半導体株は伸び悩む銘柄も目立つ。

2024年6月18日 日本経済新聞
目次