もう少し寄り道しても良いのでは?

就活の「ガクチカ」、AIが5分で生成

ハジマリがアプリ提供

人材サービスを手掛けるHajimari(ハジマリ、東京・渋谷)は、就職活動で学生がよく聞かれる「学生時代に力を入れたこと(通称・ガクチカ)」を人工知能(AI)で自動生成するアプリの提供を始めたと発表した。

2024年4月12日 日本経済新聞

昔も学生時代はそうボヤボヤできたわけではありませんでしたが、やはり今の方が大変だなと感じます。

何がやりたいことなのか、自分の適性は何か、といったことは実際にいろいろ試してみないとわかりません。もしかしたら学生時代だけでは見つからないかもしれません。

学生時代には、きちんと計画を立てて、成績でも「優」が取りやすい単位を効率的に集めている人もいましたし、ボランティアなどの活動をしたり、資格試験を受けたり、入学した時から就職を意識している人もいました。

それに比べると、わたしはどちらかというと、行き当たりばったりだった気がします。今は学生時代とは直接は関係ない仕事をしていますが、まったく関連がないわけでもなく、むしろ役に立っている面もあるので、やってきて良かったと思うことが多いです。

経験は必ず役に立つので、そんなに若いときからガチガチに考えなくてもよいのではないか、というのが率直な感想です。真面目に考えすぎているような気もします。

自分が考えた通り進んでも面白くないですしね。

科学むしばむ「不適切な研究」

解析でズル、機能性食品でも指摘

医学や心理学、政治学――。追試をしても再現できない研究が様々な学問分野で問題となっている。都合のいい結果を導く「不適切な研究」もはびこり、アカデミアにとどまらず機能性表示食品などに悪用されている。不確かな「証拠」が科学をゆるがしている。

2024年4月14日 日本経済新聞
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余裕がなくなっている

企業の不祥事もそうですが、成果を焦ったり、できもしない過大なプレッシャーが与えられると、追い詰められて、嘘をついたり誤魔化したりするしかなくなります。

研究者も、任期制などで地位が不安定だと、成果を出すために、不正に手を染めやすくなってしまいます。

健康食品の宣伝を見ていても、満足度何%とアピールしたりしていますが、そもそも誰に聞いているんだ、とツッコミたくなるような内容が多いです。これは、内閣支持率などのアンケートも同じですが。誰に聞いていのか、聞く相手に偏向はないのか、非常に疑わしい場合が多いです。

研究も同じです。本来であれば、仮説を立てて、その仮説が正しいかどうかをデータで裏付ける、という手順を踏みますが、それだと仮説が間違っている場合、実験などがやり直しになってしまいます。そもそも、最初から仮説が正しいということは稀です。試行錯誤しながらようやく成果が得られる、というのが研究というものですが、それだとどうしても時間も費用もかかってしまいます。

そして、今の時代はそんなにのんびりとしたことができない時代になっているので、どうしてもすぐに成果が出やすいものばかりに手を出してしまう傾向にあります。

成果が出ない場合には、成果が出るように、データのいいとこ取りをしたり、捏造したりするようになります。多重検定を悪用したり、p値ハッキングなどはこれですね。

過去の有名な実験も実はやらせだったと判明することもありますが、すでに広く知られてしまっているので、いまだに正しいと思い込んでいる人も多いという厄介さがあります。

有名な「スタンフォード監獄実験」も捏造だったのではないかと言われています。看守役が囚人役を虐待し始め、「善良な人間を悪い環境に置くと悪人になる」ことを証明したとされます。しかし、再現性に乏しく(非人道的なのでそもそも再現実験がしづらい)、またそうなるように意図的に誘導したという証言もあり、今では科学的には根拠が薄いとされているようです。

また、仮説を立ててデータで裏付けするという本来の順番を逆にするのがHARKingと呼ばれるもので、要するにデータに合うように最初の仮説を捻じ曲げてしまう後出しジャンケンのような不正です。

よく不正のトライアングル(動機、機会、正当化)と言われますが、やはりまずは不正をする「動機」に着目します。 

窃盗や横領などでは、多額の借金、ギャンブル依存などを疑いますし、殺人などでは憎しみなどを疑います。

「動機」がなければそもそも不正をやる意味がなくなりますので、「動機」を潰すことができればそれが一番になります。しかし、なかなか動機をなくすことはできないので、「機会(チャンス)」を潰すことになります。これを仕組み化したのが内部統制ですが、これも完璧とは言えません。人間は不正をすると「正当化」しようとします。家族のため、会社のため、という感じで。

今は、不正をする「動機」に溢れてしまっているので、その不正をする「機会」をどうやって潰すか、が大切になっていると思います。また、わたしたちも、うまい話には疑ってかかる、という姿勢も大切ですね。

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