苦戦するデジタル不正調査
フォレンジック、「限界」報告相次ぐ 企業、記録保存に甘さも
企業の不正調査で、メールなどを解析する「デジタルフォレンジック」(電子鑑識)が不調に終わる例が出始めている。過去のログ(動作記録)など、企業側のデータ管理の甘さが一因だ。専門家は「情報管理のあり方や従業員の情報機器の使用ルールについて、企業は平時から戦略を練るべきだ」と指摘している。
「サーバーから削除されたデータについては復元が困難」。発電設備などを手掛ける・・・
2024年6月3日 日本経済新聞
デジタル不正調査を行うためには、当然対象となるデジタルデータが存在しないと調査のやりようがありません。
特に、最近はLINEでのやり取りが多いように感じます。このような外部サービスに依存していると、外部サービスがデータをどのように保存しているのか、またそもそも提出してもらえるのか、といった問題に直面します。サービスの多くは無料なので、データの保管も長くはありません。一方、不正が発覚した場合、その不正はかなり過去に遡る場合が多いですので、ほとんどの場合、データがないということになってしまいます。
航空機事故でも、事故調査ではボイスレコーダーが大きな役割を果たしますが、たまに「ボイスレコーダーが壊れていた」、「動いていなかった」、「記録されているよりも前の音声が知りたかった」ということがあります。これと似た状況です。
また、個人のスマホなどを連絡手段にしている場合も、データ提出が任意になってしまうことが多いため、制約が多くなってしまいます。
便利にはなりましたが、万が一のことがあった時に、不正調査や原因究明ができなくなるという点では悩ましい問題です。