仮想通貨とレバレッジ取引

メルカリで300円分のビットコインをプレゼントされたので、しばらくその観察をしています。

現在は、365円で65円の含み益ですが、ちょっと前まではマイナスでした。確かに値動きが荒いですね。

300円で、しかももらったものなので気にもしませんが、もっと大きな金額の取引をしていたら振り回されてしまいそうです。

株式や先物などの投資は実際にやってみないとわからないことも多いです。

経験していないことは語れませんので、一時期、勉強のために、株式(現物・信用)だけではなく、商品先物、日経平均先物・オプション取引、FXといろいろな投資商品に手を出してみました。その感想です。

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レバレッジ取引は使い方次第

特に、現物以外はレバレッジがかかりますので、気を付けないと簡単に全財産を失います。財産を失うだけならまだしも、借金してまでやってしまうと借金を背負うということになりかねません。先日もそれで殺人事件まで起きてしまいました。リスクマネジメントが特に重要になります。

信用取引や先物取引は怖い、というイメージがありますが、正しく実行すれば全然怖くありません。レバレッジをかけるから危険なのであって、レバレッジさえかけなければ現物取引と変わらないリスクにまで下げられます。

信用取引であれば、証拠金の約3.3倍まで取引ができます。つまり、30万円あれば100万円の取引ができます。3割値上がりすれば証拠金は倍になりますが、逆に3割値下がりすれば証拠金すべてがなくなります。これがレバレッジ(てこ)の効果です。

最初から100万円の証拠金を入れて100万円の信用取引をすれば、レバレッジは1倍なので、普通の現物取引と同じになります。つまり、安全な取引をしたければレバレッジを1倍以上にしないことが基本となります。(もちろん、てこの原理が働かないだけで、損失リスクがなくなるわけではありません。)

なので、FXのように、25倍のレバレッジをかけるなど狂気の沙汰と言えます。4万円で100万円の取引ができますが、4%の値動きなんてザラですから、丁半博打のギャンブル以外の何物でもありません。すぐに追証がかかってしまいます。上下どちらにいくかはわからないのですから、値動きリスクに耐えられる証拠金を積んでおく必要があります。

オプション取引の特殊性

これに対して、オプション取引はちょっと毛並みが違います。先物取引もオプション取引も元々はヘッジ取引と言って、損失回避(リスクヘッジ)のためにあるものです。

現物を持っている場合、値下がりリスクを回避するために先物を売る、というような使い方をすれば、実質的に利益を確定したのと同じ効果があります。為替予約なども同じですね。

しかし、先物取引やオプション取引だけを実行してしまうと、リスクヘッジするものがないのですから純粋な賭けごとになってしまいます。

オプション取引には、2種類あります。コールオプションとプットオプションの2つです。コールオプションは買う権利の売買、プットオプションは売る権利の売買です。

何やらややこしいと言われそうですが、難しくはありません。

日経225オプション取引を例にします。コールオプションは買う権利なので、例えば18,000円の時に、将来の値上がりを期待して、20,000円のコールオプションを買うとします。21,000円になれば、20,000円で買うことができるので1,000円のプラスです。実際には、1000倍の取引なので(ミニは100倍)、100万円(ミニは10万円)の利益になります。19,000円の場合は、権利行使をしてしまうと1,000円のマイナス(つまり、100万円。ミニは10万円の損失)になるところですが、権利を行使しなければよいので、損失はありません。ただし、支払ったオプション料が無駄になりますので、損失はオプション料に限定されます。この点、保険と似ています。保険料を支払いますが、病気や怪我をしなければ保険料は無駄になります。オプションは保険なのです。

プットオプションはこの逆になります。売る権利なので、例えば、18,000円の時に、将来の値下がりを期待して、16,000円のプットオプションを買います。15,000円になれば、16,000円で売ることができるので、1,000円のプラスです。

コールオプションやプットオプションを買うということは、逆に売ってくれる人がいなければ取引が成り立ちません。つまり、保険会社に当たる役割の人が必要ということになります。

つまり、コールオプションの買いは値上がりに賭け、プットオプションの買いは値下がりに賭けます。

反対に、コールオプションの売りはそれ以上値上がりしない方に賭け、プットオプションの売りはそれ以上値下がりしない方に賭けます。

教科書では、オプションの買いはリスクがオプション価格に限定されますが(賭け金を失うだけ)、オプションの売りは損失は無限大(売り手の利益は買い手が支払う掛け金だけ)と説明されます。

上記の例では、コールオプションの場合、オプションの売り手は30,000円になれば10,000円(1,000万円)もの損失になります。買い手は日経平均が上がるほど利益がどんどん膨らんでいきます。

これだけを聞くと、オプションの売りは怖いと感じてしまいますが、現実は違います。ほとんどの場合、オプションの買いは負けなので、買い続けるとオプション料だけ取られていきますので、損失が膨らんでいきます。

しかも、先物やオプションは限月と言って、期間が限られています。限月が長いと買い手が賭けに勝つ可能性が高まりますので、オプション料は高めになります。そうしないと売り手はリスクが高すぎて引き受けてくれないからです。保険と同じですね。病気になりやすい人(年齢が高くなる)は保険料が高くなりますし、実際に病気の人はそもそも保険に入れなかったりします。

このように、オプション取引は、保険に似ていて、オプションの買いは保険の加入者、オプションの売りは保険会社の立ち位置です。たまに保険事故があると保険会社は保険金を払いますが、大きな保険金が発生するのは稀です。そうでなくては保険会社が倒産してしまいます。つまり保険会社に有利になるように保険が設計されているのと同じで、オプション取引も売る方に有利になっていると思った方が正しいです。

確かに理論上はオプションの売りの損失は青天井ですが、実際の日経平均が青天井になることはありませんし(いまだにバブル最高値を更新できていない)、限月までの期間限定の賭けなので、実際の損失はかなり限定的です。さらに、上がることは少なく、しかも上り方は緩やかなことが多いのに対して、下がることの方がむしろ多く、しかも下がり方の方が急です。期限までに設定金額に達しなければオプション料がもらえますので、実は売りの方が圧倒的に有利です。

といっても、爆上がりした時は途方もない損失になり(保険会社が莫大な保険金を支払うこともないわけではない)、一瞬で人生が終わりますので、まったく危険がないとは言えません。でもその時期さえ避けることができれば(できます)、比較的安全と言えますし、きちんと指標(日々発表されているボラティリティが最重要指標)を捉えていれば危険を避けることは可能です。わたしも、リーマンショックの時期もちょうど取引をしていましたが、痛手は受けませんでした(ただし今はAI開発で忙しく、こちらの方が楽しいので引退しています)。

投資は投機、ギャンブルと紙一重のところがあります。確かにやってみないとわからないことがありますが、人生を賭けるものではありません。もしやるのであれば、再起できるだけの資金は残るよう、リスクマネジメントをしっかりとする必要があります。

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