会計監査の効率化

EY新日本、衛星で会計監査 遠隔の鉱山や工事の状況確認

監査法人大手のEY新日本監査法人は2024年3月期決算から、企業の会計監査で人工衛星データの活用を始めた。へき地にある鉱山や建設工事などの状況をチェックし、企業の決算書に適切に反映されているか評価する。会計士の人手不足が強まるなか、先端技術を活用して業務効率を高めつつ監査品質の向上につなげる。

2024年7月4日 日本経済新聞

これは会社にとっても助かると思います。人工衛星データを購入する費用がかかるにしても、実際に現地に行って視察するよりもコストは大幅に削減できると思います。

もっとも、会計士にとっては海外に行く機会が減るので、経験を積めなくなるという意味では微妙です。わたしが海外に監査(往査)に行ったのは円高時代でしたし、まだ牧歌的な時代の名残があったので、いろいろなところに行かせていただきました(中国にも行かせていただきましたが、今はかなり厳しいでしょう)。やはり直接行かないとわからないことも多いですし、現地の方たちと直接お会いすることのメリットは計り知れないものがあります。

効率化できるところは効率化すべきですが、机上でデータと睨めっこするだけになってしまうと、会計監査もさらにおもしろくなくなってしまうような気がします。

会計士の人手不足というのも、そもそも魅力がないから、ということもあると思います。リスク回避のためのチェックリストを埋める作業などの書類仕事に忙殺され、また早期開示への対応など、年々仕事環境が厳しくなっています。

AIを使って負担を減らすということもなされ始めましたが、かといってあまりAIに頼りすぎると自分で考えることが少なくなっていきがちですから、バランスを取るのが難しいです。

どんなに技術が発達しても、不正をするのは人間ですし、人間の性質は太昔から全然変わっていませんから、不正を見抜くために人間とその行動に対する観察眼を磨くという原点は変わりません。

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