4大監査法人、取引実態の確認電子化 中小まで拡大
大監査法人のEY新日本、トーマツ、あずさ、PwCジャパンが共同出資する「会計監査確認センター」は、準大手や中小の監査法人とともに監査業務の共通化を進める協議会を設ける。4大法人では監査対象企業の取引実態を確認する作業の電子化を進めてきた。準大手や中小でもこの仕組みを使えるようにし、業界全体で業務の効率化につなげる。
2024年10月16日 日本経済新聞
新人会計士の最初の仕事は、この残高確認書の回収から始まります。金融機関、証券会社、売掛金や買掛金、立替金、貸付金や未払金などの債権債務の残高の実在性を確かめるために必須の手続きです。
今までは、郵送で書類を送付し(返信封筒も入れて)、回収して金額をチェックするという地味な仕事です。しかも、監査期間中に回収しないといけないので、回収できていないところは何度も督促しなければならないという手間もかかります。金融機関などは手数料を取るのできちんと返してきますが、取引先は手間だけが増えるのでなかなか返してくれません。ルーチンになっているところは慣れているのですぐに返してくれたりしますが、そうでないところも多く、監査の最終日までに回収するまでプレッシャーがかかります。
この残高確認書の回収は地味ですが、これがなかなか奥が深く、おもしろいところでもあります。
まず、郵送なので、消印があります。これでどこから郵送されたのかがわかります。別々の取引先で場所がバラバラなのに、消印がなぜか同じ、ということもあります。
また、残高確認書の記入が手書きの場合、そこから得られる情報もたくさんあります。字が汚い、貸借を間違えている、といったことで、経理の人柄や能力がある程度わかったりしますし、違和感を感じたりして、それが不正発見の足掛かりになったりします。結構、職人芸なのです。
これが電子化になると、確かに楽ですが、入手できる情報の多くが失われてしまいます。