AIコンパニオンは「いたわりロボット」

ドラえもんに「いたわりロボット」というものが出てきます。

とにかく、何でも優しく肯定する。失敗しても、悪いことをしても、一切叱らない、否定しない。

「気にしないの。だれが何といおうと、のびちゃんのしてることにまちがいはないのよ。」と語りかける「いたわりロボット」。のび太が茶碗を割っても、「毎日買いたての新鮮な茶碗で飲めるなんてすばらしいじゃない。」と褒めちぎり、のび太も茶碗を割ることが良いことのように見えたり。

見かねたドラえもんが、タイムテレビを取り出すと、そこに映った未来ののび太は、ゴザの上で正座をして、物乞い姿になっていました。それでも、いたわりロボットが「こうなっちゃえば、火事やどろぼうの心配いらないし、自由に気ままに生きていけるわけよ。」とあくまでのび太を肯定し続け、それに対して、のび太は「ほんと!ぼかあしあわせだなあ。」という体たらく。

これを見たのび太は、「こんなしあわせはいやだよう。」と我に返る、というお話です。

AIに肯定し続けるように命令し、耳に心地よいことばかり聞くことができてしまいますので、まさにリアルな「いたわりロボット」を手に入れてしまったわけで、非常に危険なことだと思います。

相談相手は「AIコンパニオン」、アプリに若者課金 依存リスクも

人工知能(AI)が人間の相談や悩みに答える「AIコンパニオン」の利用が世界の若者の間で広がっている。米起業家イーロン・マスク氏が率いるxAI(エックスエーアイ)の対話型AIアプリ「Grok(グロック)」もこのほど同機能を実装した。友人のような存在として注目される一方、過度な依存を懸念する声も上がっている。

2025年7月18日 日本経済新聞
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